こんちゃーす!おいさんだよ。
キミは毎日気持よく走っているかい?
最近は寒くなってきたな。
わしは普段から健康のためにランニングをしているのじゃが、今回はそんな様子をご覧いただきたい。
前回まではこちら
ランニングがすごいんだよ!という話(*´ω`*)
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ランナーも未経験者も必見!ランニングの効果!!
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タフタイガーになるために
photo by Billy Wilson Photography
だんだん気温が下がってきた。冬のランニングは最初がつらい。
いつものランニングコースをただポコポコ回るだけではなんとなく物足りない。
なので今回はいつものコースをハードボイルド風に走ってみたよ。
は?
今日は天気がよかった。
曇ひとつない空は2月だというのに暖かった。
2月になったらもう一度走りだそう。そう決めていた。
わし…(じゃなかった)俺の鈍っているであろうこの体を、もう一度鍛え直すのだ。
外に出てみると風もなく寒くもない。
よーし、これなら走れそうだ!
俺は綿入りの暖かいジャージに、
ヒートテックを着込み、ビブラムファイブフィンガーズを履いて家の外に駈け出した。
俺の住んでいる家は山の上。
何もないこの山の上で、楽しみといえばブランデーと僅かな本。
暖かい暖炉の前で、もうずいぶん年季のはいった揺り椅子に身を沈めながら、
ブランデーをちびりちびりとやりつつ、ヘミングウェイを読むのが俺のささやかな楽しみだ。
もちろん、女などいない。
趣味は、たまに山に行って狩りをすること。
猟銃は俺の友達だ。俺が世の中で唯一信頼する相棒だ。
この黒く、冷たい相棒から発せられる弾丸が、山にいる猛獣を打ち抜き、その日の夕食には俺の目の前で料理されるというわけさ。
あの、採れたての鹿の味をアンタにはわかるまい。
これが俺のライフスタイルさ、マイ・フレンド。
だが、狩りだけをしても始まらない。
たまには外の空気を存分に吸うべく山の下に走りに行くのだ。
久しぶりのランニングはずいぶん気持ち良かった。
俺の硝煙(ガンスモーク)と葉巻の煙に満たされていた肺に、清々しい空気が満ちてきた。体中に力が満ちて来るような気がする。
しかし、すぐに異変は起こった。
そこから降りて、いつものランニングコースを走ろうと途中まで下ったところ、なんか足が痛くなってきた。
アレ?おかしいな(;´∀`)
こんなまだ1kmも下ってないところで足が痛くなるなんて、
今まで一度もなかったのに…(ノ∀`)タハー
この不安の兆候は、後のランニングに影響したのだった。
甘く見ていた12km
足が重い。
平坦な道が続いた。人気のない道路である。
いつものホームコース12kmが、半分も届いてないのにひどく足が重く感じられる。
道も平らになって軽快に走ってきたはずの俺が、確実にペースが落ちてきた。
こんな時、トニーならどうするだろう?
しかし、そんなことを思っても今は無駄だ。まだ、ゴールは遠い。
いまさら来た道を引き返すこともできない。右手には一級河川である川が見える。
夏場は泳ぎに来る人が大勢詰めかけ、綺麗な水の色が走っている俺の目を楽しませる。
しかし、冬場の川は泳ぐ人間もいなく閑散としていて、その光景は慰めにはならない。
昔別れたアイツは、今どこで何をしているのだろう?
根性で折り返し地点まで走りぬき、そこからまた足が痛くなってきた。久しぶりのランニングでファイブフィンガーズを履いてきたのが仇になったのだ。足の裏の側面が蹴りだす度にヒリヒリする。
こんなに追い詰められたのは、
スタッガーリーにあの港の波止場で追い詰められて以来だ。
誰だよ、スタッガーリーって……
今でもあの時の古傷が、俺の脇腹の下でうずく。
目標になる橋に差し掛かった。ここからは上り坂だ。
と、思うとすぐに下りが来る。
毎日走っていた普段なら楽しめたこの起伏のあるコースを、今日は苦痛を持って走らなければならない。
ここからは、俺と、俺の足とのドッグファイトだ!
衰えていた我が体
二ヶ月ぶりのランニングは、確実に俺の体の衰えを確認させた。
前はなんてことないこの行程が、今日はひどく苦痛である。
「ひぃー、ひぃー、つらい!」(;´∀`)
それほどまでにこの体は、なまりまくっていた。
きっと、バーボン(…違った!)ブランデーの飲み過ぎのせいだろう。
全身がひどく重く感じられる。
疲れてはいないのに足が動かない感じがする。
俺を元気づけるモノが、今日は何もない。
iPodは壊れてしまったし、景色は枯れ木の目立つ冬景色である。
鳥もカラスが飛んでるだけで、時折山から降りてきたサルが、冬の食べ物を探しに畑を荒らしている場面が目につくくらいだ。
どこかで犬が吠えている。
その鳴き声が、疲れた体にひどく不愉快に聞こえる。
普段はイヤホンで塞いでいるこの耳に、そうした周りの雑音が生で押し寄せてきた。
音楽の力も無しに、俺は、この退屈なコースを走っている。
「ひぃー、ひぃー、は、早く家に帰りたい!」(;´∀`)
なんだか、もうどうでも良くなってきた。
もう、頭は、なにも考えられない。
なんとか家にたどり着く
風が、寒くなってきた。
やっと戻ってきた自分の家への坂道を、汗で体を冷やしながら俺は登っている。
時刻はまだ4時のはずだ。
それでも日が隠れると、どこからか「遠州名物・からっ風」が俺の体を芯まで冷やした。
「明日、風邪引きそうだな…(;´∀`)」
日も暮れ始めて、風も少し出てきたこの時間にひどく寒さを覚える。
明日鼻ちょうちんにならなければいいが…俺の瞼の裏側には、カルメンの後ろ姿が写っていた。
こうして、なんとか12kmを走ってほうほうの体で家路につき、熱い風呂に入って(いささか熱すぎた)
体を温めることが出来た、わしなのだった。