ちわわ、ちわ~!おいさんだよ!
今日はなんだ?
今日は吾輩が読んだ本をいくつか紹介してみようと思うのじゃ。
いつもの書評記事か?
久しぶりだな。
というか、読んだ本の備忘録として、ここに記録しておこうと思ったのじゃ。
まぁ、書かないと忘れちまうからな。
年末になると、吾輩は毎年近くの図書館に歩いて行って、たくさん本を借りるようにしている。
これはもう自分にとって毎年年末の恒例行事のようになっていて、今年もつい近所の図書館まで3時間歩いて本を借りに行ってしまった。
しかも大量にw
自慢ではないが吾輩は、この寒風吹きすさぶ時期に歩いて本を借りに行くという行為がとても好きである。
なぜ年末か?と言われると色々答えに窮するのだが、要はこの年末の時期に大量本を借りて家の温かいこたつで大量の本を年末の大晦日から元旦にかけて読むのがわしの長らくの暇つぶしのスタイル、娯楽になっているから、である。
よって吾輩はもう、ほとんどTVは見ない。
紅白なんてもう何年も見ていない。
どちらかというと、昔は「大晦日だよドラえもん」派なんだよね。
ようするに退屈なのだ。
だけど年末年始は恐ろしく暇で退屈な時間であると言ってしまって過言ではない。
そんな退屈で暇な時間を効率よく潰すために、年末の時期になると大量の本を読むことにしているのである。
今回はそんな暇な年末年始に読むのに適した本を紹介していこうと思う。
桜の森の満開の下・白痴 他十二篇
坂口安吾の傑作をまとめた短編集。
表題の「桜の森の満開の下」や「白痴」もおもしろいけど、個人的には「女体」とか「戦争と一人の女」など当時の一般市政の人間の中でも「業」というか、様々な葛藤を抱えて生きた人間たちの「クズ」ぶりが目について、今とさほど変わらぬ人間の生き様に安吾の類まれな観察眼の鋭さに驚かされた作品であった。
「桜の森」なんてかなり妖艶なホラーテイストの日本的幻想奇譚なんだけど、個人的には「戦争と一人の女」みたいな冷めた男と浮気な女のおかしな共同生活みたいな話の方がおもしろかったな。
坂口安吾ってよく知らなかったけど、けっこうおもしろい短編も書くんだな。
最後の「夜長姫と耳男」なんかサイコパス文学そのものだな。
奇跡のリンゴ
「無農薬りんご」を作った木村秋則さんを取材したNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」のノベライズ本。
青森県津軽地方で「絶対不可能」と言われた無農薬リンゴを作る際の苦闘の歴史を木村さんの人生とともに紐解いていく本書は、植物好きだけでなく多くの園芸家や農家などに衝撃をもたらした苦闘の歴史である。
読んでいると木村さんの愚直なまでの無農薬リンゴに対する姿勢が、読者であるこちらの胸を締め付けてくる。
最初は農薬にアレルギーがある妻のためだった。
何気なく家族のために無農薬リンゴを作ろうと思っていた木村が無農薬栽培の勉強をしていく内にいつしかのめり込んでいき、親から受け継いだリンゴ畑を全滅させるあと一歩まで生きながらも起死回生のリンゴ栽培の成功。
そこからいろいろな人に支えながらも食べた人たちが口を揃えておいしいと評判になるまでの歴史をページを繰って読み勧めていく内に、なんとも目頭が熱くなるような思いで読んでいる自分に気がついた。
「不可能」と呼ばれたことでも諦めなければいつか叶う。
そんな一人の男の執念を、この本では学ばせていただいた。
アイデア脳の磨き方!
職場や創作の現場でますますアイデアを出すことを求められる現代。
そんな現代のビジネスマンに必要なアイデアの出し方を精神科医の和田秀樹氏が様々な方法で新しい発想法を本書は教授してくれる。
- 「脳の中の常識の枠を外す」
- 「アイデア数打ち法」
- 「ツッコミ習慣をつける」
などユニークな方法が本書には並ぶが、中でも個人的に使えそうだと思ったのが、「理系発想法」で紹介されていた
- 「確率論で考える」
- 「平均値と中間値を読む」
- 「優先順位づけ、比較を行う」
など様々な現場で「使える」発想法を本書では紹介してくれる。
ドリルを売るには穴を売れ
「ドリルを売るなら穴を売れ」ブロガー界隈でも人気があり有名な本ということで、興味深く読んでみた。
ブログ関連の本はこれまでたくさん読んできたけど、ぶっちゃけ言うとマーケティングの本は初めてである。
「マーケティングとは何か」を一言でいえば「顧客」に関するすべてのこと、つまり「売ることに関するすべてのこと」だ。
市場調査、広告制作、営業戦略、などのすべてが含まれる。
(中略)
あなたが「買う」ときに、その逆には「売る人」がいる。あなたが何かを買うときには、売り手にとってのマーケティングが起きているのだ。
佐藤義朗「ドリルを売るなら穴を売れ」p12
マーケティングド素人の吾輩でもやさしく読み溶ける内容になっていて、「セグメンテーション」や「ターゲット」など、ここに書かれている内容を試しつつ、このブログでも実践してみようかと思わせる内容であった。
チンギス紀 一 火眼
久しぶりに読みたくなった。
飢えていたといってもいい。
ずっと読みたいと思っていたのだが、話が途中でわからなくなるのが嫌で、今までずっと読まずにいたのだ。
「水滸伝」「楊令伝」「岳飛伝」など中国の歴史を壮大な小説にして楽しませてくれる北方謙三氏の文体に、久しぶりに触れてみたくて読み始めたのだ。
ではなぜ今まで読まなかったか?というと、これは「水滸伝」の失敗がある。
「水滸伝」の失敗・・・それは本一冊一冊を読むのに間隔を開けすぎて読んでいたこと、である。
吾輩はこれまで「水滸伝」は図書館で借りてほとんど読んでいた。
しかし、図書館で借りるという行為は、時に自分が読みたい時に読めないことがあるということである。
他の人が先に借りちゃっているってパターンね。
そうじゃ。
当たり前ですよね?だって他の利用者さんも読みたいんだもん。
ひどいときは前読んだ巻から今回借りるまで、まる一年くらい読んでいなかった・・・みたいな時もある。
しかしここには重大な欠陥がある。それは水滸伝みたいにやたら長く登場人物が多い物語だと、間隔を開けると全く話の筋がわからなくなってしまうという点である。
特に水滸伝は登場人物がわからなくなるのじゃ。
なんつたって108星もいるからな。
そこでそんな愚を犯さないためにも、今回の「チンギス紀」は一気に読んでしまおう!と最初から覚悟を決めていた。
そんな中、たまたま近所の図書館を覗いていたら北方謙三のコーナーにたくさんの「チンギス紀」が置いてあるのを見かけて、「これは!」と思い、今回読んでみることにしてみたのだった。
気づいたらもう結構な巻数が出ていたのでここで一気に読もうとまずは1巻を手に取り、続きを読みたくなっている今日このごろなのである。
教養としてのプロレス
プチ鹿島氏の「プロレス」愛について語った本。
といっても内容はプロレスの試合とか選手についてのエピソードではなく、著者がハマった「プロレス」というものを通して、世相の出来事をうまく野次馬的な見方で読み解く方法を斬新な目線でいくつも紹介している画期的な本だろう。
プロレスに興味のない読者でも笑いながら読みすすめていくことができる。
「公益」資本主義 英米型資本主義の終焉
資本主義経済が新自由主義に犯されて早20年。
ウクライナ戦争や物価高上昇で色々日常生活に暗雲が立ち込めてきた2022年。
そんな暗い経済に警鐘を鳴らす本として登場したのがこの公益資本主義という本だ。
本書には今の株主資本主義が如何にダメか?という点に絞って現代の経済の問題点を色々列挙している本である。
読んでいるだけで色々刺激になり、不安定な世の中をもっと過ごしやすくするためにはこういった政策を思い切って断行していくべきではないだろうか?と思わせる内容であった。
第1に、企業が持続的に発展し、社会に貢献するために、事業を中長期的に捉える経営をしなければならない。
第2に、企業が持続的に発展するには、果敢にリスクを取って、新しい事業に挑戦しなければならない。
同じ事業を繰り返すだけでは、企業は存続できない、企業には「創業者魂」とか「起業家精神」などと称されるチャレンジング・スピリットが常に求められるのである。会社規模が大きくなり、その歴史が長くなっても、その点は決して変わらない。
第3に、利益は、会社の成功に貢献した「社中」のすべてに公正に分配しなければならない。
自由闊達に新しい事業を創造し、大いに利益を上げて社員を豊かにし、社会に貢献することが、会社の重要な使命だ。そして会社の発展には、未来への投資のために内部留保を適正に蓄えることも肝要となる。内部留保を嫌う株主もいるが、内部留保からなされる未来への投資こそ、次なる事業の基盤となり、やがて利益を生みだし、結果的に株主も潤うのである。
「会社は株主のものだ」と思い込んで、株主が自己利益を最大化しようとして会社を動かす米国式の時代は終わりつつある。まもなく大きなパラダイムシフトが起き、「会社は社会の公器である」という考え方が、「今世紀の常識」となるはずだ。
原 丈人「公益資本主義 英米型資本主義の終焉」p236.237
ザ・パターン・シーカー
前述の精神科医の和田秀樹氏が動画で勧めていたので興味を持って読み始めた。
本書は「if-and-then」パターンというシステム化を使って人類が如何に発明し、如何に発展してきたか、そして今でも複雑なシステムをパターン化する「パターン・シーカー」がどこの世界にもいた。
そうした人「天才」と呼ばれる人たちが、如何に偉大な発明やサービスなどを生み出しつつも、一部の人は今でも社会から理解されなかったり、活躍できる場所を与えられずに苦しみながら生きている現実を長い歴史のある類人猿学の最新の知見を引用しつつ、「自閉症」と呼ばれている人たちになぜ「天才」が多いのかという説明を見事にされている内容に、非常におもしろく感じながら最後まで本書を読み切ることができた。
アニメ大国 建国紀 1963-1973
手塚治虫の「虫プロ」
石森章太郎・藤子不二雄・赤塚不二夫・つのだじろうの「スタジオ・ゼロ」
日本のTVアニメの黎明期に活躍した漫画家とアニメーターたちの歴史を克明に綴った本書は、アニメに詳しくない吾輩でも最後まで楽しく読める内容の本であった。
TVアニメの世界で手塚治虫が切り開いた栄光と虫プロ倒産の挫折と、様々な当時の関係者とのエピソードを交えながら、本書では多くの人に忘れ去られてしまったアニメの現場の記録が詳細に綴られている。
日本のアニメが世界から評価されて久しいが、その活躍の裏でどれだけのクリエイターが汗をかき、努力と挫折を味わいながら今のアニメ文化を作り上げたのか、学んでいくのに最適な本である。
イギリスの歴史
イギリス。といえばなんとなくカッコいい国というイメージを我々日本人は抱くが、意外とどのような過程を経てこの国ができていったのかを知らない。
そんなイギリスの歴史をローマの以前の時代にまでさかのぼり、現代のブレグジットの時代まで詳細に綴った本書は、イギリスの歴史を深く知る上で最適な本である。
国家と音楽家
フルトヴェングラー、カラヤン、コルトー、ミュンシュ、ショスタコーヴィチ・・・
20世紀を代表する偉大な音楽家たちが戦争時代にどのように国家と権力者と対峙したか、激突、妥協、面従腹背、亡命など・・・そんな戦争時代の音楽家たちの活躍を克明に描いた名著。
時代背景や指揮者の名前などに不勉強であったために非常に興味深く読みすすめることができた。
小説を読みながら考えた
「小説を読みながら考えた」ちょっと古いけど、養老孟司先生の本を紹介するエッセイである。
吾輩は最近YouTubeで養老先生の動画ばかり見るようになったから近所の図書館で目についた本書を手にとっただけである。
日本語をみがく小辞典
この本は微妙。
・・・なんでこんな本借りたんだろう?
なんでだっけ?
しらん!
最後に
年末になって一気に本を読んでいささか疲れてしまった。
4、5年前までは一年で400〜600冊は本を読んでいたのだが、最近は仕事のせいもあるのか、はたまた老いさらばえただけなのか、年間100冊も読まない日々が続いていた。
そんな体たらくだから、今回この13冊を同時並行で読んでいて読破するのに時間がかかってしまった。そしてその文量と知識量に食傷気味の今日である。
それでも読みすすめていく内に、やはりおもしろい本はどんどん引き込まれて読みすすめていき、もっと更に読みたいと思わせる素晴らしい内容の本も多く、「チンギス紀」などは続けていくつも巻を読みすすめていきたいと思わせる本でもあった。
今回借りた本は殆ど当たりと言っていいほど面白い内容が多く、今回稚拙ではあるがこの記事で本の内容の一部をご紹介させていただいた。
興味がある人は図書館ででも手にとっていただけると幸いである。