ちわ!おいさんだよ。
キミは死にかけたあとの夕日に涙したことはあるかい?
ねーよ、そんなもん!
うんうん、そうだよね。普通ないよね。
なにがあったの?
わしは前回分杭峠を一人でバックパックを担いで歩いたんだけど、おかげでホントにマイナス8℃の山の上で凍死しかけたのじゃ。
お前、ホントにアホだろ。
そこで今回はそんなわしがどうなったのか?
続きを語っていこうと思うのじゃ。
「一人旅・前半戦」2日目
憧れの地、分杭峠を目指しながら誰もいない峠道をひたすら重いバックパックを背負って歩きだしたドラねこは、予想以上の漆黒の闇に包まれた恐ろしい峠道を熱きつつ山頂にたどり着いた。
だが訪れたその場所は、
雪が未だに降り積もるマイナス8℃という想定外の極寒の地であった。
震える寝袋にくるまりながら走馬灯を枕においさんは夢を見るのだった……
前回まではこちら
分杭峠で死にかけたよ、という話(*´ω`*)
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【奇跡のパワースポット】ゼロ磁場は危険?!分杭峠で見た地獄とは?
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長野観光3 地獄脱出!わしに起きた奇跡
眠れなかった。
マイナス8℃の極寒の中、
前方に冷気を防ぐ扉もないみやげ物の小屋の中で、寒さに震えながらわしは自分のかつての人生を振り返っていた。
ワシの短い人生は、この人里離れた分杭峠(ぶんぐいとうげ)で幕を閉じるようだ。
ああ!こんなことならもう少し親孝行をしとけばよかった!
ああ……終わった。
そんな時だった…
どこかで車の音が聞こえた。
そしてあろうことか、車がこちらに向かっている音がする!
そして音はグングン近くなり、わしが寝ていた小屋に外から明かりが差し込んだ。
「まさかっ!」Σ(゚д゚lll)
急いで小屋から出ると、一台の車が入り口の前で止まっている。こちらを向いたライトが非常に眩しい。
ワシは急いで一目散に車に駆け寄ると、怪訝な表情をしたオバちゃん4人が凍りついたような顔でワシを犯罪者かなにかのように見つめている
オバちゃん「・・・・・・!(かなり驚いた表情で)Σ(゚д゚lll)」
無理もない。
暗闇の中から得体のしれない男が、人がいるはずもない山の中からいきなり現れたら、誰もがかなりびっくりするだろう。
ワシ「あ、あの…!す、しゅぃマしぇん!(´;ω;`)」(←さむくて声にならない)
オバちゃんA「…は、はい!Σ(゚д゚lll)」(明らかに四人怯えた表情で)
ワシ「あ、あのワシ怪しいもんじゃにゃいんですけど、
あ、あの……(寒さと感動でなかなか声にならない)
……よかったらワシを下まで乗っけてってもらえませんか?」
オバちゃんB「下までって…私たちこの先の気場の水を
朝になったら汲んで帰るつもりなんだけど…」
ワシ「!?Σ(゚д゚lll)ガーン!
やっぱりここにはそんな場所があるんですか?」
オバちゃんA「ありますよ、この先に。今は暗くて先に行けないけど」
オバちゃんC「私たち朝になったらそこに行って水を汲んで帰るの。」
ワシ「あの…よかったらわしも、そこまで案内してもらえませんか?」
オバちゃんD「いいけど……(;´∀`)
お兄さん、どうやってここまで来たの?」
ワシ「えっと……あ、歩いて(;´Д`)」
オバちゃん一同「歩いてぇっ?!Σ(゚Д゚;エーッ!
ものすごい大きな声で驚かれたw
オバちゃんA「私ら10年くらいここに来てるけど、歩いてここまで登ってきた人初めて見たっ!(゚д゚lll)」
うう…
やはりここは人が歩いてくるようなところじゃないんだ(´;ω;`)
オバちゃんB「ここは朝になるとシャトルバスしか通れなくなって、大勢の人たちが詰めかけて大混雑するのよ。
私たちはそれが嫌でホントはダメなんだけど、深夜にこっそり来て朝になったら一番に水を取ってすぐに帰るの。そうすれば混雑しないから」
ワシ「そ、そうだったんですか……((;゚Д゚)
オバちゃんC「いきなりあんな小屋から、ガザゴソと大きな黒い影が現れたから、びっくりしたよっ」
ワシ「うう・・・スイマセン、(´;ω;`)
すいません驚かすつもりじゃなかったんですm(_ _)m」
オバちゃんA「まぁいいや。
私らもここで朝になるまで待って水を汲みに行こうと思ってたから、いいよ。朝になったら起こしてあげるよ(;´∀`)」
ワシ「ホ、ホントですか!Σ(゚д゚lll)
…あの、できたら、その……も、毛布かなんか貸してもらえないでしょうか?さ、寒くて……(((((((( ;゚Д゚))))))))」
オバちゃんD「え?ああ、毛布?!(゜o゜;
ちょうど1枚あまりの毛布があるからこれ貸してあげるよ!」
と、親切にも毛布を貸してくれる親切なオバちゃん。
ワシ「あ、ありがとうごじゃます!(´Д⊂グスン」(←泣きそう)
うう…よかったこれで凍死しなくてすむ。
ワシは一人じゃない!
なんて優しいオバちゃんたちなんだっ!!
オバちゃんたちがこの時ホントに天使に見えた!
この世の中にはいい人たちがいる!!!
早速、いただいた毛布を寝袋にいれ、
暖かい毛布に包まれながらやっと、うつらうつらしだした…
パワースポット・本当のゼロ磁場
五時頃。車のバタンというドアの音で目が覚める。
「!?…もう、朝か・・・?」
眠い目をこすりながら外に出て見ると見事な朝焼け。
「おおっ!朝があけた!
やったぁ!生きてるぞぉっ!!!(´;ω;`)」
小屋から外を見下ろすと遠くにぼんやりと朝日が登っているのが見えた。
ワシは、なんとかこの極寒を生き残ったぞぉっ!
すると、車の中から起きだしてきたおばちゃん達がこちらに歩いてきて話しかけてきた。
オバちゃんD「お兄さん、凍えなくてよかったね。(*´∀`*)」
ワシ「はいっ!ホントに…ホントにありがとうございます(´Д⊂グスン」
わしは、この時の素晴らしい朝日を一生忘れることはないだろう。
こうして朝から親切なおばさんたちの元、昨日見つからなかったゼロ地場の場所を目指すことになった。
昨日の時点では気づかなかったけど、わしがいたところからだいぶ奥に歩くと水が取れる小川があった。
けっして小さくはないけど山から出る水がこんこんと溢れ出ていた。これがゼロ磁場の水だという。
昨夜、知らずにココらへんを歩いていたら、奈落のそこに真っ逆さまだったかもしれない。
おいおい、下はやっぱり深い谷だぜ…
そう思うと、背筋が凍りつく思いだったw
さっそく水を汲んでみる。
うう・・・水が冷たい。ほんとにこんなの飲めるのかな?
恐る恐る汲んだ水を飲んでみる。
おばちゃん「どう?おいしいでしょ?」
ワシ「……うまい(気がする)……です。(-_-;)」
おばちゃん「でしょ?この水はいろんな病気に効果かがあると言われていて、特別な気が含まれているから汲んでから一年たっても腐らないんだって」
わし「一年も!・・・ホントですか?Σ(゚д゚lll)ガーン!」
ちなみに、一年間は汲んだあとも腐らない水というのは確かに存在するらしい。
名水の街・松本の水もその類の水で、一年は防腐剤ナシでも長持ちするという。
わしは冷えた体に鞭打ちながらもゼロ磁場の水をたらふく飲んだ。
これで本当に腰痛が良くなるのだろうか?
ちなみに味は、あまりにも寒かったのでよくわからなかった。
わしはおばちゃんたちに、長年腰痛を患っていること、そしてそれを治すために昨日一日頑張ってここまで来たことを告白した。
わし「あの、そんな風に腰痛を治すチカラがここには本当にあるんでしょうか?」
おばちゃん「ああ、そんならたくさんあるよ。
腰痛だけじゃない。ここに来て体が軽くなったっていう人の話はたくさん聞いてるよ(*´∀`*)」
そう言うと、口々におばちゃんたちはこのゼロ磁場で身体の不調がよくなった人たちの話をしだした。どうやら、あの噂は本当だったらしい
おばちゃん「ちなみにそこにベンチがあるでしょ?」
おばちゃんたちが指差す方を見ると確かにベンチが見える。
おばちゃん「あの木の下はここらへんで特に濃い気が流れている場所と言われていて、あそこにしばらく座っていると、お兄さんみたいに腰が痛いとか足が痛いとか身体の節々が調子悪い人には効果があるみたいよ(*´∀`*)」
わし「ほんとうですか!じゃあ是非座ってみよ!」
わしは荷物を横に置くとその場にしばらくじっと座っていた。
おばちゃん「しばらく座っているといいよ。この木の下は特に良い気が集まるって有名なところだから」
わしはベンチの後ろを見上げるとそこには、どう見ても今にも枯れそうな一本の木が立っているのが目に入った。
しかし、不思議なことにこの周りにはこれ以上の太い木はなく、これだけが立派に立っている。
本当にこの木から良い気とやらが出ているのだろうか?(;´∀`)
その後もしばらくその場に居続け、30分後にはおばちゃんたちの車に乗って峠を降りることができた。
峠から無事帰還
その後、一緒に車に乗せてもらい、近くの道の駅で朝ごはんをご馳走になる。おばちゃんたちはこの日のために自分たちでお手製の朝ごはんをこしらえていたらしい。
わしにも幾つかのサンドイッチとインスタントの味噌汁を分けてくれた。
(な、なんてやさしいオバちゃんたちなんだ(´Д⊂グスン)
こんなに上手い朝ごはんはなかった。
昨夜は凍死寸前だったこともあり、口に含んだインスタントの味噌汁が今までに食べたことのない味がした。わしはこの時、自分が本当に生きていることを実感した。
朝飯も早々に終わると、
オバちゃん「私たちこれから桜を見に行くんだけど、お兄さんも行く?」
と切り出された。唐突な提案にわしは、
わし「え?い、いいんですか?!ボクなんかがついていって(゜o゜;」
おばちゃん「いいわよ。すぐそこの高遠城の桜が今見ごろだって言うから今日は見に行こうと思っていたのよ。
どうせ駅までのついでだし、一緒に行きましょう。(*´∀`*)」
なんとおばちゃんたちは、あろうことかわしを分杭峠からここまで送って、しかも朝飯を振る舞ってくれたことだけでは飽きたらず、わしをここから車で運んで高遠の桜を見せてくれるという!
(ど、どこまでも優しいオバちゃんたちなんだ!(´;ω;`)
こうして、わしは生きて生還し、
親切なオバちゃんたちと全く予定になかった高遠城の桜を見に行くことになった。
わしは心の中で何度もお礼を言った。
ありがとう、おばちゃん、こんなろくでもないオレにこんなにも親切にしてくれて。
こうした思いがけない人たちの出会いとハプニングは大切にしたい。
決して忘れることのできない旅の暖かい思い出であるから。
次回は、そんな高遠の桜について語っていこう。