ちわ~!おいさんだよ
キミはレイモンド・チャンドラーを読んでるかい?
有名なハードボイルド小説家だな。
そう、
そこで今回はレイモンド・チャンドラーの「大いなる眠り」をご紹介するのじゃ!
前回まではこちら
古事記を読んで「神話」の面白さに気づこう。という話(*´ω`*)
大いなる眠り
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日本文学はあまり読んだことがない。
わしが読む小説は海外小説がほとんどだった。
理由は単純におもしろいからw
以前はラノベやら時代小説やら夏目漱石やらと色々日本の文学は読んできた。
それでも今ではやはり外国文学の方をたくさん読みたいという気持ちの方が強い。
そんな中、初めてレイモンド・チャンドラーを読んだのは村上春樹訳・ロング・グッドバイだった。
もともと、そんなにハードボイルド小説に興味があったわけじゃない。しいて言うなら日本のハードボイルド作家・北方謙三を愛読しているくらいだった。
だがあるとき村上春樹にハマり、彼の著作はほとんど読みあさった。
その後、今度は彼が訳した本も読んでみようと思い、様々な作家の邦訳を読みあさることにした。
レイモンド・カーヴァー、
ジョン・アーヴィング、
トルーマン・カポーティ、
トム・オブライエン、
J・D・サリンジャー
おかげで随分外国文学の作家に詳しくなったw
その中でもお気に入りはレイモンド・チャンドラーだった。
レイモンド・チャンドラーはタフガイの文学
レイモンド・チャンドラーの文章にわしが抱いた印象は、とにかく文章が難しい。
チャンドラーの文章は難しい。
今までたくさんの本を読んできたわしでさえ、いささか疲弊してしまうほどに、彼の文体は厚い。
ワシは週に本を5〜10冊くらい読むが、それを一気に読もうとすると一冊あたり、だいたい50ページくらいが一日の読む分量になる。
しかし、このチャンドラーの「大いなる眠り」は30ページを読むのがやっとなくらいで、頑張ってたくさん読み通そうとすると頭が痛くなるw
それぐらい、彼の文体は厚く、重く、完璧な文体なのだ。
完璧な文体で書かれた本というものは、ときに読者を激しく消耗させる。そして無理して読み続けていくと、頭が痛くなるのだ。
「大いなる眠り」を読んでいるとその文体からは、喉を焼き、肌をひりつかせ、乾いた硝煙(ガンスモーク)の匂いが鼻孔をかすめる、そんなザラッとした感触をさせるような小説なのだ。
そのチャンドラー独特の文体は、読者であるワシを疲弊させる。
これは必ずしもわしだけの話ではないだろう。
しかしだからといって、彼の小説が堅苦しいつまらない小説ということではない。
チャンドラーの作品と言ったら、あんなパルプフィクション出身の小説家なんて文学ではない!というような言い方をする者もいるが、わしはそうとは思わない。
掲載していた雑誌がどうであれ、チャンドラーが書いていた小説が素晴らしいことには変わりはない。
わしは素直にそんなチャンドラーの小説を素晴らしいものだと思っている。
事実、ある年代の人にとってはレイモンド・チャンドラーといえば、一種のステータスとして厚く支持されているのも、その文学が愛されているからであって、そうした熱烈な支持が、彼の文学界での位置を不動のものにしている所以だろう。
そんなチャンドラーの作品の中で、実は村上春樹氏が訳したものでわしが好きな作品は「リトル・シスター」 だ。
人によってはチャンドラー作品といえば、「ロング・グッドバイ」を押してくるかもしれないが、「リトル・シスター」はチャンドラー作品の中で物語がわかりやすく、なおかつ可愛らしい女の子(ヒロイン)とフィリップ・マーロウとのやりとりが微笑ましい。
それが実に印象的で、わしは一読して大好きな作品になってしまった。
今回の「大いなる眠り」は、作品として個人的にはそれに劣るような気がする。
展開としては、物語の冒頭から異常な空気を醸し出している。
まるで子供のように男を見ると体を求めてしまうカーメンや、その裏で行われている怪しげなビジネスの臭いなど、どこまでもハードで乾いた印象を与えるが、「リトル・シスター」に見られるようなチャーミングな展開は期待できない。
それでいて「ロング・グッドバイ」ほどの乾いた哀しみも全編に渡ってそこにはないように思えた。
一方で、確かに良く言われるように、チャンドラーの探偵小説には
いささか無理なプロットやトリックの部分で無理がないわけではない。
タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格はない
しかし何度もいうが、だからと言ってチャンドラーが描くフィリップ・マーロウの物語がつまらないわけではない。
むしろその筆勢は色あせることなく、読者をわくわくさせるような展開は健在である。
その魅力は読書をタフガイに錯覚させる麻薬のような力がある。
この作品は、そうしたチャンドラー節に彩られていると言っても過言ではないだろう。
本書は、そうしたしっかりとした「力」をもつ、味わい深いウイスキーのような良質のハードボイルド小説であるのだ。
読めば多くの人びともフィリップ・マーロウが織りなすタフガイの世界に潜り込むことができるだろう。
今度は、清水俊二訳のモノも読んでみよう(^^)