ちわ、乱視の猛虎ことおいさんだよ。
キミは奇妙な小説アンソロジーを読んだことはあるかい?
奇妙な小説アンソロジーってなんだよ?
こわいの?
ポポポ?
ううん、怖い話の本ではないぞ。
今日みたいな日は家で少し不思議なお話を読むに限るのじゃ!
なんかよくわかんねぇけどおもしろい本を紹介してくれよな。
あいよ!
そこで今回は柴田元幸氏翻訳の「どこにもない国―現代アメリカ幻想小説集」という少し不思議なアンソロジー本をお届けしよう!
前回まではこちら
カズオ・イシグロ初心者のための短編集。という話(*´ω`*)
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初めてのカズオ・イシグロで読みたい短編集はこれだ!
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どこにもない国
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「いま・ここ」がゆらぐと書いてあるけど、ホントそう。
読んでいると軽いめまいを覚えてしまうような幻想的な小説群である。
「幻想」というまさにこの言葉がふさわしい本書は、訳者の言葉を借りれば「過去20年くらいアメリカで書かれた幻想小説」を9つ集めて翻訳したアンソロジー。
のっけからエリック・マコーマックの「地下室の査察」で始まるような何処か不思議でなんとなく不気味なストーリーが読み手を今ここではないどこかへと連れて行ってくれる。
得体の知れない闇を秘めた男
個人的には2つ目のピーター・ケアリーの「Do You Love Me?」なんかが少し悲しくて好きだが、3つ目のジョイス・キャロル・オーツの「どこへいくの?どこへ行ってたの?」なんか鳥肌モノであるw
これは女の人が読んだら卒倒してしまうんじゃないかと思われる変質的なストーカーの話だよね^^;
コニーをとにかく連れだしてしまおうと口説いてくるアーノルドという若い男は不気味でありながらもどこか信用出来ない感じで、読み手である読者は非常に警戒感を抱きながら読み進めていくことができるが、常に刺激を求めるティーンエイジャーには殊の外、こういった男は魅力的に映るに違いない。
わかるわ~、女って悪い男に弱いんだよね(^_^;)
世の中にはこんなに真面目で優しいブログを書いているナイスガイがいるってのにナゼそっちをえらんじゃうんだよw
でもこのアーノルドという男は、そこら辺の悪い男とはまた少し違った、得体の知れない闇を秘めた男の香りがそこはかとなく漂っていて、読んでいるとゾクゾクしてくる。
こんなんに家に勝手来られたら怖いw
わしだったらすぐに網戸閉めちゃうんだけどなw(*´∀`*)
「ここではないどこか」のリアルな世界
この本の中には本当に「幻想」としか言えないようなストーリーがたくさん詰まっている。
マジックリアリズム満載の短編がたくさんだが、他に気になるものでいえば 最後の少し長めのお話「ザ・ホルトラク」だ。
なんてことはないコンビニで働いている若いお兄ちゃんたちの話なのかと思ったら、なんだかよくわからない世界に暮らしている感じの、「ここではないどこか」感が非常に好きである。
ゾンビが出てきたり、聞見ゆる深淵なんてよくわからない下の世界がポッカリと開いていたりと、読んでいて少し長いんだけど、だんだんこのわけのわからなさ加減がたまらなくなってくる。
コンビニで働いている若者の話のはずなのに、明らかに「僕らと違う世界」に存在するこの日常がなんとなくおかしいw
わしには絶対思いつかない展開で淡々と描かれるそれらの日常は、
まさに読み手であるわしらを「ここではないどこか」へ連れていく先の展開が読めないストーリーである。
雨空の下どこにも行けずに退屈している方に是非オススメな一冊である。