ちわ、おいさんだ。
キミは安西水丸氏を知ってるかい?
あの村上春樹の本の挿絵を描いている人だな。
そう、わしはあの安西氏の絵が大好きなんだけど、先日亡くなられた安西水丸氏を追悼する意味を込め今回はそんな安西水丸のイラストを中心に本を紹介してみるよ!
なかなか変わった趣向だな。
前回まではこちら
お茶の歴史を学んでみよう。という話(*´ω`*)
村上かるた うさぎおいしーフランス人
世界のハルキ・ムラカミの最新作。
「飼い犬に手を握られた」など驚異の108篇。
ミニエッセイ、カラーイラスト、4コマ漫画付きの痛快。
わしはよく村上春樹のエッセイなどを読む。
そうすると必ずついてくるのが安西水丸氏の可愛らしいイラスト。
最初見た時は
「なんだこの子供が描いたような下手くそなイラストは?!」
と違和感を覚えたりもしたのだが何冊も本を読むうちにそんな安西水丸氏の描く天衣無縫なイラストが大好きになってくるのだ
そこらへんが安西水丸画伯の良い点である。
村上朝日堂 (新潮文庫)
ある時は牛に蹴飛ばされそうになりながら「牧場」を歩き、またある時は新郎新婦になりきって「結婚式場」を取材する。
その他、「人体標本工場」「消しゴム 工場」「コム・デ・ギャルソン工場」「コンパクト・ディスク工場」に「アデランス工場」と、好奇心で選んだ7つの〈工場〉を、自称ノン・フィクション作 家、春樹&水丸コンビが訪ねます。
イラストとエッセイでつづる、楽しい〈工場〉訪問記。
はっきり言って、水丸画伯の絵はいわゆるウマイ絵ではない。
「まるで子供が描いたような」
という言葉がふさわしいように一見誰でも簡単に描けるような絵を描く人、なのだ。
しかしこの安西水丸氏が、ヘタな絵しか描けないイラストレーターかというと、決してそうではない。
実際はしっかりとした実力をもちながらあえて上手く描かない画家といっていいだろう。
村上朝日堂の逆襲 (新潮文庫)
交通ストと床屋と教訓的な話とハワイで食べる冷麦が好き。
高いところと猫のいない生活とスーツが苦手。
時には「セーラー服を着た鉛筆」について考察するか と思うと、小津安二郎の映画の細部(ディテイル)にこだわったりもする。
「自由業の問題点について」に始まって、「長距離ランナーの麦酒」に終わる、御存じ、文・村上春樹とイラスト・安西水丸のコンビが読者に贈る素敵なワンダーランド。
しかし、裏を返せばそれはすごいことだと思う。
この世界にどれだけ、
大人になっても子供のような絵を描ける人がいるだろう?
大体の大人は年をとると周りの目を気にして必ずうまい絵を描こうとするものなのだ。
しかし、画伯はそうしたウマイを絵を描くことを拒否し、自分と読者が楽しむためにのびのびと自由に絵を描かれているように思えた。
いわゆる大人の目なんてものは気にしない。自分が楽しみ読者が楽しんでもらうために描いているのだ。
そうした安西水丸氏の子供心が、多くのファンの心を捉えて離さないのだろう。
村上朝日堂はいかにして鍛えられたか (新潮文庫)
裸で家事をする主婦は正しいのか?
あなたの空中浮遊の夢はどのタイプ?
読者から多数の反響を呼んだ「通信」シリーズを筆頭に、「真昼の回転鮨にしかけられた恐怖の落とし穴」「宇宙人には知られたくない言葉」から、苦情の手紙 の書き方、学校の体罰の問題まで、世紀末の日本を綴ったエッセイを水丸画伯のイラストがサポートする、名コンビ「村上朝日堂」シリーズ最新作!
あの20世紀最大の天才・ピカソは、幼少期より素晴らしく正確なデッサン力を持ち、大人でも描けないような素晴らしい絵をたくさん描いていたという。
しかし晩年、それよりも自分が、多くの絵画的技術から脱して、やっと子供のような絵を描けるようになったことを喜んだそうな。
ピカソにとって子供のような絵を描くということは、なによりも本人が望んだ夢だったのだ。
そう、大人になっても子供のような絵を描けるということは実はすごいことなのである。
村上朝日堂はいほー! (新潮文庫)
せっかちで気が短い。
占いには興味がない。
最近の映画の邦題はよくないと思う。
ときどき無性にビーフ・ステーキが食べたくなる。
双子の恋人が欲しい。
フィッツジェラルドとチャンドラーとカポーティが好き。
この中で三つ以上思い当たる方は、誰でも村上ワールドの仲間です。
はいほー!と軽やかに生きるあなたに贈る、村上春樹のエッセンス。
安西水丸画伯のイラスト入り、全31編。
そうした安西水丸氏の画風は、あえて進化することを拒否したイラストと言ってもいいだろう。
もちろん進化しないと言っても悪い意味ではない。
大人としての成長をやめるということではなく、大人であっても子供の感性を持ち続けてそれをうまく芸術にしてしまっているのだ。
そうして生まれた画風が、水丸画伯の独自の世界観といっていいだろう。
一見、誰にでも描けそうな絵でありながら、
「子供なら誰もが描けた絵を描き続けるオトナ」それが安西水丸氏なのである。
日出る国の工場 (新潮文庫)
ある時は牛に蹴飛ばされそうになりながら「牧場」を歩き、またある時は新郎新婦になりきって「結婚式場」を取材する。
その他、「人体標本工場」「消しゴム 工場」「コム・デ・ギャルソン工場」「コンパクト・ディスク工場」に「アデランス工場」と、好奇心で選んだ7つの〈工場〉を、自称ノン・フィクション作家、春樹&水丸コンビが訪ねます。
イラストとエッセイでつづる、楽しい〈工場〉訪問記。
楽しむために描く。これは難しいことだろう。
特に素人ならまだしも、プロのイラストレーターが楽しむために絵を描くということは、人気イラストレーターになればなるほど、その心を維持するのは大変だろう。
しかし水丸氏は、
依頼人の要望を聞きながらも、それに自分の思いを乗せて、見た人が楽しめるような絵をどんな風に描くか?
ということに挑戦し続けた人だと思う。
それをこれまでの30年間のイラストレーター人生で続けてきたことは、やはりイラストレーター界の驚異といっても過言ではないだろう。
ランゲルハンス島の午後 (新潮文庫)
まるで心がゆるんで溶けてしまいそうなくらい気持のよい、1961年の春の日の午後、川岸の芝生に寝ころんで空を眺めていた。
川の底の柔らかな砂地を撫で るように流れていく水音をききながら、僕はそっと手をのばして、あの神秘的なランゲルハンス島の岸辺にふれた―。
夢あふれるカラフルなイラストと、その隣に気持よさそうに寄り添うハートウォーミングなエッセイでつづる25編。
そんな安西水丸氏の楽しいイラストが載った本を今回たくさん紹介してみた。
こうしてみると、盟友・村上春樹氏との本が多いねw(=´▽`=)
そんな可愛らしいイラストレーションの数々で、わしら読者を大いに楽しませてくれた水丸氏は、やはり素晴らしいイラストレーターだと思います。
そんな水丸画伯のイラストが、もう見れないと思うと残念でならない。
わしも絵を描く者として、
あんな風にいつまでも絵を楽しんで描き続けられる人間でありたいと思った。
ヘタだっていいんだ。
ただ絵を描くことを楽しめる心さえあれば……
最後に、リクナビ・就職ジャーナルから、安西水丸氏のインタビューを抜粋して終わりたい。
安西「僕がやっているイラストレーションというのは「絵」じゃないんですよ。
小さいときから絵は好きだったけど、それは自分の気持ち、感情や思ったことを視覚的に表現したかったから。
今も「絵」を描いているわけではなくて、依頼してくれた人の気持ちを自分の中でかみ砕いてビジュアライズしているという感じなんです。
絵はうまい方ではないですけど、うまい絵を描く人は世の中に腐るほどいますからね。
ルーブル美術館で30分も過ごせば、ミケランジェロもいれば、ラファエロもいる。
うまい絵を描くだけが勝負なら、たいていの人はもう絵なんて描けなくなりますよ。
でも、そういうことではないと思うんです。
魅力のある絵というのはうまいだけではなくて、やはりその人にしか描けない絵なんじゃないでしょうか。
だから、そういうものを描いていきたいなと思います。
安西水丸さんのご冥福を、心からお祈りしますm(_ _)m